臨床心理学とストレス科学/佐藤 隆 08022 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

臨床心理学とストレス科学/佐藤 隆 08022

佐藤 隆
臨床心理学とストレス科学
★★★★★

グロービス経営大学院の
「リーダーシップとメンタルヘルス」
の佐藤隆教授の著作。

非常に手に入りにくい本の様で、

アマゾンでは注文できず、

楽天では注文できたようだが

10日以上経過しても届かない。


グロービスの図書館で発見し、

とりあえず借りた本を読んだ。


この本を読むと、講義もハンドアウトも

メンタルヘルスのホンの初歩なのだな、と感じる。

佐藤隆教授の講義を受けて

「何だか奥深そうな科目だな」と思った直観は

間違っていなかったらしい。


正直なところ、一読しても完全なる理解には程遠いが、

いくつか有益なヒントは得られた。


 カウンセリングは、つまるところ

 対人コミュニケーションによって

 行動変容を試みる人間関係で、

 そのコミュニケーションの基盤はラポールである。

 クライエントはカウンセラーにより受容され、

 自分への氣づきが促進され、

 適応の向上や自己の目的の達成がなされていく。

 カウンセリングは安心の場の提供である。

 何の話をしても批判されない。

 秘密は守られ、自分自身を開示できる

 という場の提供である。

 そしてカウンセラーはクライエントの話を傾聴する。

 単に話を聞くのではなく、その人が訴えている

 言語的非言語的なメッセージに

 心を傾聴するのである。

 カウンセラーの経験をベースに聞くのではなく、

 あるいは途中でさえぎってカウンセラーの人生観を

 押し付けるのでもない。

 クライエントの問題を

 個人の固有の問題として考える。

 

 <中略>


 カウンセリングマインドとは、

 人間関係を大事にする対人接触態度をいう。

 日常生活の中で接するとき、

 カウセリングの心で人に接することであり、

 プロフェッショナル・カウンセリングではない。

 たとえば、職場で上司が部下に接する時、

 教師が生徒を指導する時、

 保育士が子供や親に接するとき、

 対人接触を業とする人々の

 対人態度のひとつである。


6章の心理療法の中でからの抜粋だが、

読んでいて、これは決して心を病んだ方だけへの

接し方の技法ではないと感じた。


会社ではより良い上司として、

同僚として、部下として、取引先として。

自宅でもより良い夫として、父として。

プライベートでもより良い友人として。

この「カウンセリングマインド」を

持ち続けて大事に思う人と接することができたならば

どれほど素晴らしい人間関係を

築くことができるであろうか。


うつ病などに苦しむ友人知人の助けになれば、

と思い学び始めたメンタルヘルスだが

もっと大きな可能性を感じさせる本だった。