あなたの話はなぜ「通じない」のか/山田 ズーニー 08039 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

あなたの話はなぜ「通じない」のか/山田 ズーニー 08039

山田 ズーニー
あなたの話はなぜ「通じない」のか
★★★★★

ふざけた表紙(?)のために

あまり期待していなかったが、

その分喜びは多かった。


いろいろと学べたのだが、

ショックだったのはここ。


 人は、自分でつかんでいきたい生き物なかもしれない。

 なぞなぞで、もう少し答えがつかめそうなとき、

 正解を言われたら、相手を怨むだろう。

 謎解きをするときのぞくぞくする感じ、

 わかったときの、頭にパッと電流が走り、

 すっと腑におちる爽快感。


 正論を拒むのは、人間の本能なのかもしれないと

 私は思うようになった。

 正論は強い、正論には反論できない、

 正論は人を支配し、傷つける。

 人に何か正しいことを教えようとするなら、

 「どういう関係性の中で言うか?」

 を考え抜くことだ。

 それは


 正論をいうとき、自分の目線は、

 必ず相手より高くなっているからだ。


 教えようとする人間を、好きにはなれない。

 相手の目線が自分より高いからだ。

 そこから見下ろされるからだ。

 そして、相手の指摘が、外れていれば、

 それくらいわかっている、バカにするなと腹が立ち、

 相手の指摘が当たっていれば、

 自分の非が明らかになり、

 いっそう腹が立つ。


 <中略>


 望んでもいない相手に、正論をふりかざすのは

 道行く人の首根っこをつかまえるような暴威だ。

 まして、あなたと対等でいたい、

 あなたより立場が上でいた、

 と思っている相手なら、

 無理やりその座から引き摺り下ろし、

 プライドを傷つけ、恥をかかせる。


 だから、相手は、あなたの言っていることの

 効能を理解するよりもずっとはやく、

 感情を害してしまう。

 理性より感情の方が、

 ずっとコミュニケーションスピードが速い。

 相手は、あなたを「自分を傷つける人間だ」

 と警戒する。

 正論をかざすことで、あなたの相手に対する

 「メディア力」は下がってしまう。


 先にメディア力ありき、

 相手は、そういう人間からの言葉を受け入れない。

 だから、あなたの言う内容が、

 どんなに正しく利益になることでも

 なかなかうまくことが運ばないのだ。

 言葉は関係性の中で、相手の感情に届く。



・・・な、なるほど。

その通りだ。

外部から来た者による

「企業変革」「組織変革」

の難しさは、ここにある。

「百の正論」よりも自分のメディアとしての力、

自分の信頼性を高めることが先なのだ。


最近漠然と感じていたことを

すっきり整理してくれた一文だった。