佐賀のがばいばあちゃん (徳間文庫)/島田 洋七 08079 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

佐賀のがばいばあちゃん (徳間文庫)/島田 洋七 08079

佐賀のがばいばあちゃん (徳間文庫)/島田 洋七

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★★★★★

リゾナーレで、散々贅沢をした晩にベット上で読む。


実はこの本、数か月ほど積読していたのだが、

旅の支度をしている時に、なぜか手が伸びた。


漫才の島田洋七さんの幼少の頃のノンフィクション。


どんなにお金が無くても、

氣持ち、心の持ちようでいくらでも前向きに、

幸せになれるんだ、

ということを改めて氣づかせてくれる。


 ある夕ご飯の席のことだった。
 「ばあちゃん、この二、三日

  ご飯ばっかりでおかずがないね」
 俺がそう言うと、

 ばあちゃんはアハハハハハハハ・・・・・・

 と笑いながら、
 「明日は、ご飯もないよ」
 と答えた。
 俺とばあちゃんは、顔を見合わせると、

 また大笑いした。


無いモノを求め続け、手に入れ続けても、

きっと永遠にその「無いモノ」はなくならない。

欲望は絶えることなく、

海水の様に飲めば飲むほど欠乏感に苛まれる。


ならば、

無いモノを数えるよりも

有るモノを数えて感謝する。

何もなくても、いま、こうして

自分が生きている奇跡に感謝する。

ましてや家族がいれば

それだけで十分ではないか。


この「がばいばあちゃん」は

そのことに氣がついていたに違いない。


素晴らしいのは


 「ばあちゃん、うちって貧乏だけど、
 そのうち金持ちになったらいいねー」

 しかし、ばあちゃんの答えはこうだった。

 「何言うとるの。

  貧乏には二通りある。

  暗い貧乏と明るい貧乏。

  うちは明るい貧乏だからよか。
  それも、最近貧乏になったのと違うから、
  
心配せんでもよか。
  自信を持ちなさい。うちは先祖代々貧乏だから。
 

  第一、金持ちは大変と。
  
いいもの食べたり、旅行に行ったり、忙しい。
  それに、いい服着て歩くから、
  
こける時も気ぃつけてこけないとダメだし。
  その点、貧乏で最初から汚い服着てたら、

  雨が降ろうが、地面に座ろうが、

  こけようが、何してもいい。ああ、貧乏で良かった」

 「ばあちゃん、お休み」

  としか言いようのない俺だった。



「成り貧乏」ではない「筋金入り貧乏」とでも

言うのだろうか(笑)。

可愛い孫にこう言い切るがばいばあさん、凄すぎる。


大笑いしたのが


 「ばあちゃん、英語なんてさっぱりわからん」
 「じゃあ、答案用紙に

  『わたしは日本人です』って書いとけ」
 「漢字も苦手で・・・」
 「『僕はひらがなとかたかなだけで

  生きていきます』って書いとけ」
 「歴史も嫌いでなあ」
 「歴史もできんと?
  『過去にはこだわりません』って書いとけ」


これは子供や孫には言えないなぁ(笑)。


でも、これだけ貧乏しても

ばあちゃんも孫もまっすぐ生きられたのは

この二人の人柄とそれを知る周囲の温かさ、なのだろう。


毎年貧しい弁当を運動会に持ってこざるを得なかった少年に

「お腹が痛い」と嘘を言って豪華な弁当と取り換えてあげる

先生方の思いやり。


ああ、人は、自分で生きているんじゃない。

生かされているんだなぁ、

と感じ、涙した。