生かされて。/イマキュレー・イリバギザ 08083 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

生かされて。/イマキュレー・イリバギザ 08083

生かされて。/イマキュレー・イリバギザ
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★★★★★

ヒビキング さんから強く勧められていた本。

今日は出張で大阪に来ているのだが

ビジネスホテルのベッドの上で一氣に読んでしまった。

あまりに凄惨で、強烈で。

でも清清しさも残る、という非常に複雑な思いが残った。


アフリカのルワンダという小さく、美しい国。

そこで起こった、たった十数年前の、最近の出来事。

隣近所に住んでいた、既に血も混じっている

ツチ族とフツ族という民族間で内戦が起こる。

少数民族のツチ族を追い詰めるフツ族。

ツチ族の娘のイマキュレーさんは、

父も母も、兄達も無残に殺されながらも、

小さなトイレに8人で3ヶ月間も隠れ、

生き延びる。


狭いトイレで、只管、彼女は祈り続ける。

家族や自らの安全を祈って。

殺戮者と化した、身近な人たちへの憎しみを

乗り越えるために。


なんとも劇的なのは、

内戦が終了し、虐殺を煽動した者たちが

交流された刑務所での話。

そこで、一人の留置された老人の前に立つ。

彼女は自分の家族を殺し、

自分を血眼になって探してきたのが

目の前に力なく座っている

近所の知人だったことに氣づく。


それまでは心の中で激しい憎悪と

闘ってきた彼女だが、彼に


 「あなたを許します」


と言うのだ。


自分がこの状況に置かれたとき、

このようには絶対にできないだろう。


これほどの痛ましい出来事が

つい最近起こっていたなんて。

94年ならば新聞で読んでいたはず。

これほどのことだったとは。


読むごとに、この平和な日本に

自分も家族も友人も生まれ育ったことを

重ね重ね感謝せずにはいられなかった。