経営に終わりはない (文春文庫)/藤沢 武夫 08151 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

経営に終わりはない (文春文庫)/藤沢 武夫 08151

経営に終わりはない (文春文庫)/藤沢 武夫

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チェックを欠かさない畏友達の

ヒビキングさんや 経営に終わりはない 05218

橋口寛さんの 経営に終わりはない

の両ブログに登場した本書。


本田宗一郎氏と世界の本田技研

を二人三脚で立ち上げた名経営者の唯一の本。


 私はなにしろ仕事がしたかった。

 自分の持っている才能の限界をしりたいというのが

 私の夢だった。

 そして本田も、自分の持っている力を

 知りたいということですね。

 二人ともそれではなかったでしょうか。


その二人は運命の糸に

引き寄せられるように出会う。


 本田技研の経営を担ったのは私でした。

 それは会社の中で知らない人は

 ほとんどなかったでしょう。

 しかし、だからといって、

 それならば私に社長が務まるかといえば、

 それは無理です。


 社長にはむしろ欠点が必要なのです。

 欠点があるから魅力がある。
 つきあっていて自分のほうが勝ちだと思ったとき

 相手に親近感をもつ。

 理詰めのものではだめなんですね。


 あの人にはそれがあります。

 欠点があるから他人から好かれないかといえば、
 あれだけ人に好かれる人もめずらしい。

 私のほうが欠点は少ないでしょう。
 だがそのぶん魅力がない。

 だから社長業は落第です。


 私は若いときから、

 自分の精一杯の知恵を出してみたいと思っていました。

 だれかの鞄持ちをして、

 なんとかその無名の人の持っている才能を

 フルに生かしてあげたい、

 というのが夢だったんです。


決してNo1にはならないNo2。

藤沢武夫さんは自分の性格や限界を知りつくし、

No2として生きることを選びそれを喜ぶ。


ここはとても共感できる。

事の成り行きでリーダーのようなことを

させて頂く機会は多いけれど、

No2や参謀的立場の方が

自分も向いているのではないか。


欠点はあれど男も惚れるような男に出会う。

「こいつには自分が必要なんだ」と。

それを助けて共に成長していく。

そんな人生も、悪くない。


そして、本田技研は、

そんな二人が組み、信頼関係を築く。

いや、藤沢武夫さんにして

「本田かぶれ」と言わせるほど

のめりこませてしまう。


そして、二人はお互いに無いものを補い合う。

まさに両翼となって、

本田技研は目覚ましい成長を遂げる。


出会ってから25年後。

引き際も二人で。

それも実に見事に。


「まあまあだな」
「そう、まあまあさ」

 しかし、実際のところは、

 私が考えていたよりも、ホンダは悪い状態でした。
 もう少し良くなったところで引き渡したかったのですが。
 

「ここらでいいということにするか」
「そうしましょう」

 すると、本田はいいました。

「幸せだったな」
「ほんとうに幸福でした。心からお礼をいいます」
「おれも礼をいうよ、良い人生だったな」


 それで引退の話は終った


仕事人生の終わり。

これほどの満足感、幸福感を以て

締めくくれるであろうか。


 しかし、いずれにしても

 根底では二人は愛しあって

 理解しあっていた。


 「これ以上はない人にめぐり会えた」


 という氣持ちが少なくとも私の中にはある。



ここまで言わせる何かを心中に得たのだ。


あまり他人の人生を望んだりしないけど

実に羨ましい。