指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦 08152 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦 08152

指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦
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今年の新年を飾った

会社は頭から腐る/冨山 和彦 08001

に続き、冨山和彦さんの二冊目。


本が付箋だらけ。

どこを引用しようか、実に悩ましい。


 会社が倒産するのは、

 戦略的合理性で1+1は2ですよ、

 あるいは、2から1を引いたら1ですよ、

 という処理をしようとしたときに、

 利害関係が衝突して、

 みんなの合意が形成できないからなのです。


 あるいは、1+1は2という理屈だと、

 みんなの想いを1つにもっていけない

 ということが起きたときに、

 人間はとかく、1+1は3みたいな

 道理に合わないことをやってしまうわけです。


新入社員の時は、まさか自分の入社した大企業が、

潰れるなんて夢にも思わなかった。


その後の平成不況。


後輩が務めていた大手証券会社の

倒産時の話を詳しく聞いた。


 「先輩、自分の会社の倒産を

  日経で知ったんですよ。

  誰も沈むなんて、昨日まで思っていなかった」


その時はまだ、他人事。

でも、2001年12月のある日のことは

今でも覚えている。


それまで当社株価は右肩下がりに下がり続け、

ついに100円を切る。

先輩たちや同僚と、


 「会社大丈夫かなぁ。転職活動でもしようか」


と皆冗談で言っていたのが、

誰も冗談でも言わなくなる。

皆現実を見つつも誰も触れようとしない、

あの空氣。


その後、V字回復を遂げたのだが、

ある首脳が「あのときは本当に危なかった」と語っていた。

やはり首の皮一枚すれすれまで行っていたのだ。


会社なんて、意外と簡単に潰れるんだな。


これは原体験として、強く刻まれている。


 「つぶれちゃうんだ」と思っただけで、

 不思議と悲壮感とか心配はありませんでした。

 人間って、何とかしそうな感じの人と、

 何とかしそうにない人に分かれるじゃないですか。


会社が潰れるかな?って思った時は

「じゃあ子供に合氣道でも教えるか」って(笑)。


でも冷静にビジネスマンとしての棚卸を考えたとき、

自分を商品として買い手側からの視点で見たとき、

「これじゃイカンな」

と思ったのが、いろいろな資格やMBAを

取ろうと思ったきっかけなんだろう。

自分って、頑張って仕事してきた割には

あまり魅力が無いって。


いつしか手段が目的化して、

勉強やそれを役立てることが面白くなったけど。




 リーダーに求められるのは、

 不断の自己否定


本書を通じて伝えようとしているのは、

国も大企業も大組織も、

そして自分自身にも甘えて信じきらない。

それらを疑い時には否定する強さを持て。

ドロドロな中で不眠な状態がたとえ続いても。

我武者羅に、無我夢中に働いても

視点は高く、常に一歩引いた冷静な判断を失わない。

他人への強い好奇心や愛情と理性のバランス。

それが変革時のリーダーシップである。


そのように感じた。