十五億人を味方にする 中国一の百貨店 天津伊勢丹の秘密/稲葉 利彦 08194 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

十五億人を味方にする 中国一の百貨店 天津伊勢丹の秘密/稲葉 利彦 08194

十五億人を味方にする 中国一の百貨店 天津伊勢丹の秘密/稲葉 利彦
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★★★★★

いろいろと中国関係の本を読み進めているが、

「日本の工場」「サプライチェーンの源流」として

とらえている本が圧倒的に多い。


その中で、中国国内の需要獲得を目的とした

「百貨店の中国進出」を語ったこの本は

当社とは業態が異なるとはいえ、

大いに参考になった。


私も何度も中国に行った際に衝撃的に感じたのは

「常識」「当たり前」「美意識」が

日本とは全く異なること。

同じ黄色人種で外観的にはほとんど違いが無いのに・・・。


白人、黒人ぐらいに見た目から違えば

文化の違いも実感として理解できるのだが、

中国の方々は「日本人的感覚」からすると

とんでもない(と感じるのは狭い日本の常識のなせる業なのだが)

言動が多く、とても驚かされた。


観光や視察旅行だと「面白いねぇ」で済んでいたけど

まさかあの中でビジネスをするとは。


本書で何度も繰り返し出てきたのは

「TIC(This is China ここは中国だから仕方ない)

という諦めの言葉。


おそらく中国に行ったことのない人のは

まったく想像もつかないような

「TIC」の具体例がいくつもでてきたが、

私には「ああ、あるある!」と思う話ばかり。

でも中国天津の伊勢丹の社長として、

著者の稲葉利彦さんは

この「TIC問題」に逃げずに取り組む。


 「中国人との間合い」という極意を

 つかんでしまったようです。


そうだな・・・。きっと全部を正面から受け入れてたら、

メンタルヘルス的に大いに問題になりそうだ。


「自分を客観的に俯瞰的に見て

 その状況を楽しむ」


そんな境地にたどり着けれれば

中国ビジネスも自ずから上手くいくのかな、

と感じた。