小室直樹の中国原論/小室直樹 08226 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

小室直樹の中国原論/小室直樹 08226

小室直樹の中国原論/小室直樹

★★★★★


中国に詳しい親友の

「上海人さん」に奨められる。

彼には他にも様々アドバイスを頂戴している。


小室直樹先生の本は素晴らしい本が多いが、

この本も傑作だろう。


他の中国関係の本は

「あんなことがあった、こんなことがあった

 だから中国や中国人ってこんなものだ」

みたいなのが多いが、本書は全く異なる。


まず歴史をさかのぼる。

そして日本のみならず他国の比較文化学、

比較社会学の見地も取り入れ、

中国の本質に迫る。


通常、人は自分のパラダイム外のことを

理解するのは困難であり、

無理やり自身のパラダイムに合わせてこじつけたり、

無視したりするが、小室直樹先生は違う。


 帮(ほう)こそ中国固有の人間関係であり、

 日本にもアメリカにも、これに該当する人間関係はない。

 だから、帮の理解は、日本人にとってもアメリカ人にとっても

 困難に絶する。

 しかも、帮の理解こそが中国理解の急所である。

 中国人と付き合う秘訣もここにある。


 <大幅に中略>

 では帮にいれてもらうためにはどうすればよいのか、と。

 いや、実はこれはとてつもない難問なのである。

 中国人の帮に入るなんて、日本人には想像を絶した困難であって、

 あるいは不可能かもしれない。


 <中略>


 が、さしあたって中国でビジネスをするためには

 帮と情宜(チンイー)のちがいを念頭に置く必要はない。

 中国人と情誼の結合を結べればそれで十分である。

 

なるほど。

今まで読んできた中国関係の本 を思い起こすと、

思わず膝をポンと叩きたくなる。

これを知りたかったのだ。


 交渉する場合には、必ず下位者が上位者を訪問する。

 その逆は絶対にありえない。

 ゆえに、日本の首相自らが中国を訪問して交渉することは

 日本が中国に最大の敬意を表したことになる。


こういう彼我の「当たり前」の違いの理解は

特に重要だ。

しっかり覚えておこう。


 贈り物、特に巨大な贈り物は、

 モノ自体が重要なのではない。

 これほどのモノを贈ってまであなたと

 親交を結びたいという、

 その志が重要なのである。

 ゆえに、高額の贈り物を礼をもって贈って

 相手がそれを受け取れば、

 そのことによって人間関係が一変する。

 贈り物はそのための触媒である。


賄賂の重要性やその必要悪について書かれている本が

多かったが、その本質に触れているものはなかったな。

でも日本にもこういう氣質をもった業界や人はないことないぞ。


 礼をもって贈る


というのが大事なんだろうな。

なんだかマンションを建てる時の近隣補償費のようだ(笑)。

その金を活かせるか活かせないか。

感謝されるのか逆に恨まれるのか。

その渡し方によるのだ。


 中国史の勉強は今でも、

 中国人の基本的行動様式(エトス)を

 抽出するためのベストな方法である。

 いかなる調査よりも、いかなる体験談よりも

 はるかに有効であり、

 比較を絶して有効な方法なのである。


そうか。

三国志をまた読もう。

水滸伝や韓非子は読んだことが無いので

挑戦してみよう。


それにしても目から鱗の連続だった。


上海人さん、ありがとう!!

またいろいろと教えてください。