指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦 08338
に引き続き、企業再生・企業変革の本。
リストラをするということは、
リストラをする人としない人を、
どこかで線を引くわけです。
たとえば50人に辞めてもらう場合、
50番目と51番目の人というのは大差ない。
1番と100番は明らかに実力差が
あるから納得感があるのですが、
真ん中くらいになるとその境目は
絶対に理不尽なんです。
そういう追い詰められた状態になると、
やはり人というのは本性が出るわけです。
それぞれの生活があるから、
普段、きれいごとを言ってた人もいえなくなります。
だから、本当に追い詰められないと、
それぞれの人間の本性ってわからない。
ある意味で人間って追い詰められれば
追い詰められるほど、
それぞれの人が持っている
モチベーションの奴隷なのです。
家族が大事な人もいる。あるいは親が大事な人もいる。
みんなそれそれの動機付けがあるわけです。
こんなことを読んでしまうと、
<中略>
たとえば「カネボウは繊維から撤退できなかった。
愚かなりしや」ということを言うでしょう。
そこで「頭が悪いから」と
結論付けちゃう人は、基本的にリーダー失格です。
そういう人は、現実のリーダーとして機能しないのです。
合理的な判断が出来なければ
これは元プロ選手から聞いた話なのですが、
テニスの世界では、世界ランキングの
トップワンハンドレッドというのは
ほとんど技量差がないというのです。
実力はほぼ均衡していると。
そういう人たちが、要は本戦でガチンコで、
雌雄を決するような戦いをする場合、
我々がテレビを見ていても、
やはり実力事自体は伯仲しているように思えるのです。
じゃあ、何が勝負を決するとしたら、
指一本の執念なのです。
トップに行くやつというのは、
やっぱりその辺の集中力、執念というのが、
人間業じゃないくらいすごい。
それはスポーツだけでなく、
どの分野も同じなんですね。