指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦 08338 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦 08338

指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦
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昨日の
企業変革力/ジョン・P. コッター 08377
に引き続き、企業再生・企業変革の本。

リストラをするということは、
リストラをする人としない人を、
どこかで線を引くわけです。
たとえば50人に辞めてもらう場合、
50番目と51番目の人というのは大差ない。
1番と100番は明らかに実力差が

あるから納得感があるのですが、
真ん中くらいになるとその境目は
絶対に理不尽なんです。


そういう追い詰められた状態になると、
やはり人というのは本性が出るわけです。
それぞれの生活があるから、
普段、きれいごとを言ってた人もいえなくなります。
だから、本当に追い詰められないと、
それぞれの人間の本性ってわからない。
ある意味で人間って追い詰められれば

追い詰められるほど、
それぞれの人が持っている

モチベーションの奴隷なのです。
家族が大事な人もいる。あるいは親が大事な人もいる。
みんなそれそれの動機付けがあるわけです。


こんなことを読んでしまうと、
今まで如何に自分がぬくぬくとした環境で
育ててもらってきたか、を感じてしまう。
ファイナンシャルリオーガニゼーションのクラスで
ディスカッションをしていて時折虚しくなるのは
「理屈では確かにそうだ。
 でも現場には生身の人間がいるのだ。
 本当にその理屈通りでその人たちが動くのか?」
ということに思るとき。
確かに人間とはモチベーションや
インセンティブの奴隷なのだ。

 傍から見ていて、何で変われなかったのか、
 撤退できなかったのかというのは簡単です。
 でも、ここが肝心なところですが、
 現実のリーダーというのは、そういう立場に
 いないということが理解できないと、
 本質は見えてきません。
 自分が当事者としていろいろなしがらみを
 背負ってその中にいて、それでも、
 戦略的に合理的な行動が出来るかという話なのです。


 <中略>


 たとえば「カネボウは繊維から撤退できなかった。

 愚かなりしや」ということを言うでしょう。

 そこで「頭が悪いから」と

 結論付けちゃう人は、基本的にリーダー失格です。

 そういう人は、現実のリーダーとして機能しないのです。


合理的な判断が出来なければ
正しい方向に組織を向けられない。
でも合理的、なだけでは人も組織も動かない。
経営者はそれぞれの高度な次元でのバランスが
要求されるということなのだ。

 これは元プロ選手から聞いた話なのですが、

 テニスの世界では、世界ランキングの

 トップワンハンドレッドというのは

 ほとんど技量差がないというのです。

 実力はほぼ均衡していると。

 そういう人たちが、要は本戦でガチンコで、

 雌雄を決するような戦いをする場合、

 我々がテレビを見ていても、

 やはり実力事自体は伯仲しているように思えるのです。

 じゃあ、何が勝負を決するとしたら、

 指一本の執念なのです。


 トップに行くやつというのは、

 やっぱりその辺の集中力、執念というのが、

 人間業じゃないくらいすごい。

 それはスポーツだけでなく、

 どの分野も同じなんですね。


全く、全く然り。
泥臭くたっていいじゃないか。
格好悪くたっていいじゃないか。
最後の最後まで、粘り続けるのだ。

指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦 08152