飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ/井村 和清 08054 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ/井村 和清 08054

井村 和清
飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ
―若き医師が死の直前まで綴った愛の手記
★★★★★

まだ娘が起きている週末の夜、

読み始める。

数ページめくったところで

涙が目に溢れる。

一度本を閉じる。


皆が寝静まった頃。

再び開く。


著者は31歳の若い医師。

2歳の娘と、お腹の中にもう一人、

子供がいる。


悪性腫瘍で右足を切断するものの

職場へ復帰。


だが、間もなく肺へ転移。

自ら「余命は半年」

と診断しつつも、

家族のため、患者のために病と闘う。


そして79年1月21日、

長女の飛鳥ちゃんを遺し、

次女の清子ちゃんの誕生を

目にすることができず、

逝去される。


 暖かみの残っていた身体も、

 時間がたつにつれ、冷たくなっていくのでした。

 階下の座敷に安置した遺体の掛け布団をめくっては

 「パパ、パパ」と、

 飛鳥は、何度も横に入って寝ようとします。

 写真に向かって、呼びますが、

 もう、答えてくれません。


二人の子を遺して若くして亡くなるなんて

どれほど無念だったろうか。

両親に自分の葬式をあげさせるとは

どれほど切なかったであろうか。


涙が、止まらない。