ビジネスに活かすファイナンス理論入門/野口悠紀雄 08170 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

ビジネスに活かすファイナンス理論入門/野口悠紀雄 08170

野口悠紀雄
ビジネスに活かすファイナンス理論入門
ここまでは知っておきたい基本

★★★★★


再々読。

前々回よりも、前回よりも、

断然中身がよく理解できるようになっている。

こういうことを実感できると、勉強がたまらなく楽しく感じる。


今回面白いなぁ、と思ったのはここ。



 「日本人はリスクを取りたがらないから、

  新しい可能性に挑戦できない」

 といわれることがある。

 「日本経済が不調なのは個人がリスクを

  取ろうとしないためであり、

  日本経済の活性化のために、

  個人がリスクに挑戦すべきだ」

 という考えだ。


 しかし、この考えは間違っている。

 個人は、生活の安全を確保しなければならないから、

 もともとあまり大きなリスクは取れないのである。


 (中略)


 では、企業も分散投資に従って

 リスクを回避すべきだろうか?

 さまざまな事業内容を手がけることは

 企業の価値を高めるであろうか?

 最近「選択と集中」ということが言われるが、

 これと事業多角化のどちらが正しいのか?


 実は、個人が分散投資で消すことが出来るリスクを

 企業の段階で事業多角化によって消すことは意味がない。

 なぜなら、企業がいくら多角化したところで

 分散しうる程度には限度があるからだ。

 個人がさまざまな株式を購入して

 ポートフォリオを組む方が、はるかに容易に

 リスクを分散することができる。


 それに、もともと株式会社にに有限責任の

 特権が与えられているのは、

 株式会社がリスクに挑戦することを

 容易にするためのものだ。

 株主の責任は有限なので、

 仮に会社の事業が失敗しても、

 保有株式の価値がゼロになるのが

 株主にとっての最悪の事態だ。


 つまり、株式会社とは、

 事業が失敗した場合に倒産ができるように

 設計された仕組みなのである。


 (中略)


 だから、企業はリスクに挑戦しなければならない。



ああ、そのとおりだ。


「会計戦略」の発想法/木村 剛 06077


で学んだ株式会社の生い立ちの話を思い出した。



ビジネスに活かすファイナンス理論入門/野口悠紀雄 07103

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