構築された仏教思想 空海――即身成仏への道/平井宥慶 24111 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

構築された仏教思想 空海――即身成仏への道/平井宥慶 24111

 

★★★☆☆

著者ご本人の主義主張が強く

面白くもあるがちょっとおなか一杯な氣もする。

 

 筆者がまだ大学の教壇に在ったころ、

 ときの高名な文芸評論家(同僚でもあった)が目の前で

 ”歴史とは創作だ〟と発言しておられたのを思い出す。

 つまりひとりの論者がどの資料を採りどの資料を捨てて

 合理的流れを形成するか、

 その取捨選択・価値判断はその歴史論者の選択眼に

 委ねられた必要不可分の権利である、ということ、

 そういう作業結果で視えてきた歴史像ならば、

 これはその歴史学者の〝創作〟とも言い換えられる、と。

 架空の歴史物語をつくってしまう捏造物語をいうのではない。

 そのかわりに、そこにえがかれた〝歴史〟は、

 その作業をしてきた論者の見識が問われることにもなることを、

 当該論者は覚悟しなければならない。

 

と。空海弘法大師の話はいろいろと読ませて頂いてきたので

唐へ渡ったのは灌頂を受けることが目的、など

「おお、ここでここまで言うか」などと思えるが、

初心者にはちょっと偏り過ぎているかも。